すばらしい日本の伝統芸能~歌舞伎の魅力にふれる 講師 田口 章子 先生
「日本人のDNAに刻まれた情感 歌舞伎をもっと楽しむ!」
今までの歌舞伎解説とはひと味もふた味も違った新鮮な切り口で、生き生きとした歌舞伎の魅力が楽しめる新講座「すばらしい日本の伝統芸能~歌舞伎の魅力にふれる」が9月からスタートする。講師は、京都造形芸術大学で15年にわたって開催されている公開講座「日本芸能史」の企画・コーディネーターを務める田口章子さん。気鋭の歌舞伎研究者であると同時に、小学校2年生の時に初めて観た歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』の勘平腹切の場面に魅了されて以来、時間が許す限り劇場に通い続けている無類の歌舞伎好きでもある。まさに伝統芸能の〝目利き〟だ。
「この講座は、歌舞伎ファンはもちろん、今まで歌舞伎を観たことがなくても、十分楽しめるように考えていますから」と茶目っ気たっぷりに話す田口さん。チャーミングな笑顔にぐっと引きこまれ、歌舞伎への並々ならぬ愛情と研究者ならではの冷静な分析を聞くうちに歌舞伎の世界がぐんぐん身近に感じられてくる。
例えば、現在の歌舞伎の象徴となっている隈取りや派手な荒事の演技が成立したのは、共通語が江戸の地にない元禄時代に、セリフが分からなくても見た目で表現するためという指摘に驚きつつ、時代背景を交えての解説をじっくり聞けばなるほどと深く納得。講座ではさらに文楽との関わりや「心中もの」が人気を博した社会背景など、さまざまな角度から歌舞伎の魅力に光を当てていく。中には「近松門左衛門と三谷幸喜」というユニークなテーマも!
「三谷幸喜が近松門左衛門に寄り添いながら書いた文楽『其礼成心中』は文楽のファンにも好評でした。それは、三谷文楽が伝統的な日本文化の発想法に支えられているからなんです」と新たな視点で近松門左衛門の豊かな文学性を静かな中にも熱を込めて語る。田口さんの日本文化への造詣と伝統芸能に対する深い愛情が垣間見える。
「江戸時代の人たちはどんな価値観で生きていたのか、歌舞伎が教えてくれます。悲しみも喜びも今の私たちと共通する思いがあること、さらに日本文化と日本人について一緒に考えていきたいと思います」
講師プロフィール
京都造形芸術大学教授 田口 章子 (たぐち・あきこ)
1957年東京都生まれ。学習院大学大学院修士課程修了。文学博士。研究テーマは歌舞伎を中心とした伝統芸能。『江戸時代の歌舞伎役者』(中公文庫)で芸術選奨文部大臣新人賞受賞。京都造形芸術大学の公開講座「日本芸能史」をプロデュース。著書に『歌舞伎から江戸を読み直す-恥と情-』(吉川弘文館)ほか多数。
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