私の第九

今年の”私の第九”は不本意ながら休眠の年。丁度良い機会ですので、これまでの足跡を振り返って見ることで、これからの”私の第九”の成長の一助になれば良いなと思い、筆を取らせて頂きます。
私が第九を始めたのは丁度30年前になります。当時職場のあった長岡京市が市の文化活動の一環として開催していた市民参加の第九イベントからで、井上道義氏や大友直人氏の指揮や佐藤しのぶ氏のソロなどを身近に感じたのが”私の第九”の“やみつき”の始まりでした。その後、京都音響第九合唱団(京都コンサートホール)で佐渡裕氏の指揮などで何回か歌った後、2001年からほぼ毎年KEIBUN第九に参加させて頂いております。初めて本格的なオペラハウスでの舞台に立った折の感激を今でも鮮明に憶えております。この後、”私の第九”はKEIBUN第九と大阪城ホールでの1万人の第九を歌うのが年末の恒例行事として定着しており、大晦日の年越し蕎麦と同様これが終わらないと新年が来る気がしません。今年の暮れはどうしたものかと心配です。以上総括しますと、私の第九の歴史は四半世紀以上にもなり、演奏会数で言うと42演奏会になりました。この間、ご一緒させ頂いた指揮者は17名、ソリストは延べ約168名、オーケストラ演奏家は延べ約2100名、合唱団員数は延べ約13万人(1万人の第九12回も含む)にもなります。第九に参加することでこれ程沢山の方々とご縁が出来ていたとは今更ながらに驚かされると共に、何か勇気を頂いた気もして来ました。
現在のコロナ禍の時代、世の中の分裂と分断がますますひどくなって来ております。ベートーヴェンが第九の歓喜の歌(シラー原詩)に込めた願い、”Deine Zauber binden wieder, was die Mode streng geteilt,alle Menschen werden Brüder,wo dein sanfter Flügel weilt. 歓び、おまえの不思議な力は時の流れが引き裂いていたものを再び結び合わせる。おまえのやさしい翼に抱かれて、すべての者は兄弟になる。”が今の時代ほど必要な時は無いように思われます。皆で手を携えて分裂と分断を克服し、コロナ禍を乗り切ろうではありませんか!