リストとの出会い 〜ドイツ、フライブルクからメッセージを。
日本の皆様、こんにちは。
今回”七色のリスト”に出演させていただけますこと、とても光栄に思っております。
私のリストとの出会い、或いは思い出と言えば、まず、高校の音楽科入学試験にて、パガニーニ練習曲の第5番”狩り”を弾いたことでしょう。当時おそらくせいぜいごくわずかのリストの曲しか弾いていなかったであろうにもかかわらず、面接で「どの作曲家が一番好きですか」という質問に、”リストです!”と、答えたことをまだ覚えています(笑い)。

私のドイツ生活も23年過ぎましたが、フライブルグ音大での恩師、故ティボア・ハザイ氏は、ブダペスト(リスト音楽院、大学)、後にハンブルクで勉強されたハンガリー人でした。リストのロ短調ソナタは、彼の十八番で、当然、私もこの曲のレッスンで多くのことを勉強できました。それから14年ほど後、ハンガリーのある小さな町で演奏する機会がありました。せっかくなので、その後、ライディングのリスト生家と、ブダペストのリストの住居(現在博物館)まで足を伸ばしました。とても印象に残るのみ、感動、感嘆したものです。ブダペストの住居・博物館の係りの親しみあるおばさんと雑談して、結局ホールにまで特別に入らせてもらい、舞台上のピアノ(コンサート用の現在のSteinwayでしたが)で、一部だけならずロ短調ソナタを弾きました。そんな風でリストとそしてこのソナタは、私にとって思い出深いものでもあります。 皆様に何かうったえかけるような演奏ができればと思います。大津でお目にかかれるのを楽しみに、フライブルクから心からのご挨拶とともに。
                         結城康江